研究概要 |
18世紀のグランドツアーの通常の考え方(イギリスの子弟がヨーロッパ大陸から学ぶ)の逆のケースをアルガロッティという人物を通して検証するのが本研究の目的である。 彼がイギリス滞在中に得たもの、プロイセンに招聘されたのちフレデリックに伝えたもの、イギリスの美意識を背景に故国イタリアに彼がもたらした影響という3つの方向から研究をすすめることとした。イギリス、イタリア現地での資料収集を始めとして、分析・研究を行い、その成果を16年度においては学会発表2と論文1にまとめることができた。 (口頭発表) 1.「アルガロッティとイピゲネイアのモチーフ」(サウンディングズ英語英米文学会第49回研究発表会) 2."Francesco Algarotti and his Grand Tour"(British Society of Eighteenth Century Studies, Annual Conference) (紀要論文) 「アルガロッティのイピゲネイア再論」(『東洋大学経済論集』) 特にオックスフォードでの学会発表時において、アルガロッティ、また彼が親交した人々を研究対象としているイタリア、トルコ、オランダの研究者と意見交換する機会を得たので、17年度以降も彼らとさらに研究の交流を深めていきたいと考えている。彼らと関心の対象・アプローチは異なるが、お互いの研究が18世紀当時の多角的分析をする上で、補完的な役目を果たしている手ごたえを得ることができた。
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