1 資料購入の必要上、まず、研究の計画を具体的に定め、第1章 政教条約下の教会と聖職者(スタンダール、バルザック、フロベール)、第2章 反自然としての司祭像(ミシュレ、ゾラ)、第3章 過去の人-作家の感性がとちえた司祭像(サント・ブーヴ、ルナン、フロベール)、第4章 表象としての司祭像-キリスト教をめぐる思索(ユゴー、サント・ブーヴ、サンド)、第5章 聖性と司祭-世紀への反発と郷愁-(バルベイ・ドールヴィイ、ブロワ)、結論 司祭像の地平(ラムネとベルナノス『田舎司祭の日記』)、とした。 2 実施計画にしたがって、図書、資料を購入した。実在の聖職者の動向把握を一つのポイントと考え、フェリックス・デュパンルー、アルスの司祭等に関する資料を追加した。さらに下に記した草稿研究の結果、新たに知り得たキリスト教関係資料も追加した。 3 資料収集と草稿研究に役立てる目的で、ノート型パーソナルコンピュータを購入した。 4 授業休業期間を利用して渡仏し、フランス国立図書館において資料収集を行った。さらに、パリ市歴史図書館においてミシュレ「宗教史ノート」、ロマン主義資料館においてエルネスト・プシカリの草稿を二週間にわたって調査・研究した。 5 反教権主義に関係する文献を中心に資料を熟読した。反教権主義の背景にはさまざまな思想が交錯しているが、そうした思想状況を読み解くため、ともに反自然という見地から司祭のあり方を糾弾したミシュレ、ゾラの類縁性と相違を考究した。その結果をふまえ、17年度中に「ゾラにおける司祭像 -反自然の糾弾-」(仮題)、「反教権主義の一系譜 -ミシュレとゾラ-」(仮題)を発表する予定である。 6 上記の草稿研究の内容をさらに充実させて、18年度以降に、「ミシュレにおける聖フランソワ・ド・サル論」(仮題)、「ルナンからプシカリへ -イデアリスムと聖職者像-」(仮題)を発表する予定である。
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