研究概要 |
2004年9月に佐藤アヤコがモントリオールにおいて,モントリオール大学,サーカス・シティを訪問して資料収集。また,M.M.ブーシャールにインタビューを行った。 2005年2月に小畑精和が,モントリオール大学,ヨーク大学,ネプチューン劇場,TNM劇場,ノーヴァ・スコシア美術館を訪問し,資料収集を行った。 1980年代に入ると,ロベール・ルパージュやシルク・デュ・ソレィユなどが脚光を浴び始める。彼らの舞台芸術の特徴は言葉に頼らないパフォーマンスにある。英仏二言語を公用語とするカナダで言語の壁を越えて上演されるためにはこうした要素が必要だったのだろう。特にフランス語表現演劇でこの傾向が見られる。それはフランス語話者が少なく,英語表現演劇に比べマーケットが小さいからだろう。英語話者にも見てもらうために,仏語表現演劇は翻訳されなければならない。しかし,翻訳は多かれ少なかれ原作とズレが生じる。翻訳なしで理解してもらおうとすれば,台詞を少なくし,役者の身ぶりや表情,映像や特殊技術の使用によって表現することが多くなるのは当然だろう。ケベック州でマリー・シュイナール・カンパニーのようなダンス・パフォーマンスが盛んなこともこうした視点から見れば納得がいくだろう。そうした特徴は英語表現演劇にも影響を与えている。例えばT.ハイウェーの演劇においては踊りが重要な要素となっている。
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