平成19年度は4年目にあたり、研究のまとめの時期に当たる。そこで、主に二つのことに焦点を絞り実行した。一つは、舞台上での狂言とコメンディア・デッラルテの比較、及びそれらの融合の結果の発表であり、もう一つは研究結果をまとめる事であった舞台所での比較・融合の発表は私が実行委員長となった『2007年国際フォーラム:狂言とコメンディア・デッラルテ』の中の一つのイヴェントとしとて、イタリア大使館のPrimavera Italiamaに合わせて全国の能楽堂で8講演を企画した。この企画は3本立てとし、狂言の代表として『濯ぎ川』、コメンディア・デッラテルの代表として『Bilora』、融合の成果として私翻案・演出の『いたち』(Biloraを翻訳したもの)を同時上映した。9月には名古屋のイタリア村で3週間弱に亘る私の創作・演出の『恋の戯れ』をイタリア人役者、大蔵流狂言師、オックスフォード大学の学生でTeatro di Mareで上演した。これも、西洋の古典喜劇テーマを日本に名古屋に当てはめた創作で、国籍の違う役者を混ぜる事で舞台効果を高める事を狙った実験です。平成20年よりTheatre Project Siを立ち上げ、第二段階の実験へと進み始めた。このプロジェクトではシェイクスピアの四大悲劇を含む悲劇を中心に3年間でシェイクスピアの作品を6本翻訳し、狂言師とオペラ歌手を使って上演にこぎつける間に、洋々な実験を試みる予定です。Oxford大学のo'Reiley Theatreでの公演で舞台上に字幕を出してみたが、有効であった。
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