一年目はイタリアおローマ大学La Sapienzaに行き、そこで自ら翻案した狂言を演出する機会にめぐまれた。シェイクスピア作『十二夜』を『酔っ払いの仕返し』としてローマで上演し、その後日本ツアーをした。この文化融合実験により、日本の古典を野西洋古典演劇が融合可能である事を証明した。 二年目は一年目の結果を更に先に進めるよう綿新創作喜劇を演出しローまで上演し、その後日本の各地で上演した。イタリア人学生の演技力も向上し、翻案のみでなく、創作の作品の中でも東西文化融合が可能な事を証明した。 三年目は狂言の研究・演技の研究に専念した。そしてローマにある日本文化会館で狂言のワーク・ショップを開きイタリア人がどのように日本の狂言を受け入れるか実地調査した。 4年目にあたり、研究のまとめの時期に当たる。そこで、主に二つのことに焦点を絞り実行した。一つは、これまでの成果を本にまとめることで、『狂言とコンメディア・デッラルテ』という本を出版した。二つめは舞台上での狂言とコメンディア・デッラルテの比較、及びそれらの融合の結果の発表であった。イタリア大使館のPrimavera Italianaに合わせて全国の能楽堂で8講演を企画した。この企画の中で融合の成果として私の翻案・演出の『いたち』(Biloraを翻訳したもの)を『濯ぎ川』とBiloraと同時上演した。9月には名古屋のイタリア村で私の創作・演出の『恋の戯れ』を大蔵流狂言師を主役にし、イタリア人役者とTeatro di Mareで上演した。平成20年よりTheatre ProjectSiを立ち上げ第二段階の実験へと進み始めた。このプロジェクトではシェイクスピアの四大悲劇を含む5本の悲劇を中心に3年間でシェイクスピアの作品を6本翻訳し、狂言師とオペラ歌手を使って上演する。その準備・稽古期間に、様々な実験を試みる予定です。Oxford大学のo'Reiley Theatreでの公演で舞台上に字幕を出してみたが、有効であった。 舞台上での東西文化融合着実にせいかをあげており、この実験は今後も続けていく。
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