研究課題
基盤研究(C)
研究の5つの柱を成す各項目について、平成16年度〜平成18年度の研究成果を以下に記す。a)レーモン・ルーセル研究--ルーセルの最後の作品『新アフリカの印象』、未完の長篇小説『ハバナにて』など、晩年の活動について、とくに作品の重層構造(入れ子状構造)との関係からの研究を続けつつあり、前者については挿絵との関係を論じ、後者については翻訳に着手した。b)ミシェル・レリス研究--1931年から33年にかけてのダカール・ジプチ調査団の民族学的な意義と、この調査に参加したことでレリスが得たものやそれが彼の作家活動にもたらした影響、またこの調査のコロニアリズム的な性格に対する彼の批判などを、特に調査旅行の前半について調べ、論文にまとめた。c)ダダ・シュルレアリスム研究--以前の論文でとりあげたパリ植民地博覧会の問題の延長として、アントナン・アルトーにバリ島の演劇がもたらした影響を調べ、論文にまとめた。また、アンドレ・ブルトンに影響を与えたジャック・ヴァシェ、ジャック・リゴーらについて調べ、パリ・ダダの一側面を論文にまとめた。さらに、シュルレアリスムと写真の関係を仏語の論文にまとめたが、これは近く刊行される予定。d)視覚芸術と無意識/身体--視覚芸術との関係で、無意識や身体の問題を探る試みを続けているが、上記c)のアルトーについての論文や写真についての論文において、その一端には触れえたと考えている。e)20世紀文化・社会・思想研究--上記a)b)c)の研究は、まさに20世紀初頭におけるモダニズムとエキゾティシズムの関係にかかわってくるが、それは文化・社会・思想研究の文脈において、主体と客体の関係性の問題として捉えなおした場合、d)のテーマにもつながる。この主体と客体の問題こそ、モダニズムとエキゾティシズムについて考える作業の核のひとつになるものであり、今後は、ダダやシュルレアリスムとの関係で本格的に論じる必要があるだろう。
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人文論集 45
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Humanitas No. 35
Editions Honore Champion
人文論集 44
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水声通信 7
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Humanitas No. 34
Suisei-Tsushin No. 4
Setagaya Museum, Toyama Museum
ページ: 420 [172-182]
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