研究課題
基盤研究(C)
本研究の成果は以下のとおりである。1.19世紀のフランスの作家ネルヴァルのディオラマ論に多大な影響を与えたクール・ド・ジェブラン、ファーブル・ドリヴェ、ピエール・ラクール、バルテルミー・デルブロの著作の原典を可能な限り入手し、その影響関係を検証した。ネルヴァルに関する研究書の中で言及されてきた著述家の原典を検証して、多くの知見を得ることができた。2.ネルヴァルのディオラマ論がフランスの作家の中で特異なものなのかどうかを知るために、以下の作業を行った。フランスの全文データベースFrantext、Base Internaitonale de Lettres(CD-ROM)、Dictionnaire culturel en langue francaiseを使って19世紀から20世紀のフランスの作家がdioramaをどのように描いたかを調べた。初期のディオラマを見て作品内に描いた作家、改良されたディオラマを描いた作家、そしてただ単に人形と背景が置かれたディオラマを描いた作家に分類される。以上の検証作業でわかったことは、ネルヴァルのようにまとまった形でディオラマ論を書いた作家は他にはいない。しかし他の作家もディオラマという視覚芸術から大きなインスピレーションを与えられている。3.ネルヴァルと比較するために日本の作家がディオラマやパノラマをどのように描いたかを調べた。日本ではパノラマとディオラマが同時期に流行し、ディオラマが付け足しのような役目しか果たしていなかった。またフランスで始まった初期の形とは異なり、背景の前に人形が置かれていた。4.パリでディオラマ館跡地、火災後に再建されたディオラマ館跡地付近、そしてサン=テチエンヌ=デコ.=モン教会を実地検証し、当時のディオラマを追体験した。5.本研究の成果を2004年の第17回国際比較文学会、2005年の第23回国際近現代言語・文学学会で発表した。2007年に開催予定の第18回国際比較文学会においても発表予定である。
すべて 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (8件)
筑紫女学園大学・筑紫女学園大学短期大学部紀要 2号
ページ: 91-98
Journal of Chikushi Jogakuen University and Junior College No.2
筑紫女学園大学・筑紫女学園大学短期大学部紀要 1号
ページ: 129-137
Journal of Chikushi Jogakuen University and Junior College No.1
ページ: 129-138
筑紫女学園大学紀要 17号
ページ: 51-59
論叢(筑紫女学園大学・筑紫女学園大学短期大学部国際文化研究所) 16号
ページ: 116-124
Journal of Chikushi Jogakuen University No. 17
Bulletin of the International Cultural Research Institute of Chikushi Jogakuen University / Junior College No.16