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2004 年度 実績報告書

19世紀前半のフランスにおける大衆演劇の受容と影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16520197
研究機関沖縄国際大学

研究代表者

大下 祥枝  沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (40088745)

キーワード19世紀前半のフランス大衆演劇 / 『ロベール・マケール』 / 『アドレの宿』 / フレデリック・ルメートル / 他作品のパロディー / 「生理学もの」 / 社会批判と検閲 / バルバザックの作品
研究概要

パリの劇場に関するC.B.WicksとJ.W.Schweitzerの共著"The Parisien Stage"のマイクロフィルムを入手後、その中から19世紀前半にパリで上演された大衆演劇の題目をリストアップした上で、本研究の参考となる諸作品を分析する作業を行った。今回新たに発見したフレデリック・ルメートルの三つの戯曲『物好きな囚人』、『老芸術家』、『タバコ入れ』は、時期的には『アドレの宿』(1823年)と『ロベール・マケール』(1834年)の中間に位置するもので、上演回数は少ないものの、後者の内容に影響を及ぼしていることが明らかになった。詳細については、役者が戯曲の制作において果たした役割に関する章の中でまとめる。『ロベール・マケール』が当時の社会に与えた衝撃は、関係者の予想をはるかに上回るものであり、各種新聞・雑誌に批評文が掲載された。上演直後には『展覧会場のロベール・マケールとベルトラン』や『ロベール・マケールの遺書』など、このメロドラマの同工異曲といえる作品が舞台にかけられているが、1848年になると二月革命を予言するようなロベール・マケールを描いた作品も登場する。さらに「生理学もの」や主人公のロベール・マケールと相棒のベルトランを語り手とする他作品のパロディー(『ドン・ジュアン・ド・マラナ』)が発表されている。これらの作品を考察した結果、当時の検閲を巧みにかわしながら社会批判的な台詞が劇場の外の世界に広まっていく様子を見て取ることができた。大衆演劇と伝統的な古典劇や正劇との対立図式は、フレデリック・スーリエの下書きにバルザックが加筆して仕上げた短編小説『悪魔の喜劇』において、政治体制批判も加味しながら描かれていることが判明した。また、バルザックの悲劇『継母』において、家庭生活の描写に新しい視点が挿入されている点は、大衆演劇に見られる社会批判が他のジャンルに及ぼした影響の一つとしてとらえることができるであろう。これらの点については、戯曲の受容と影響の章でまとめる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] バルザック作『継母』-戯曲の着想から公演まで-(第一部)2004

    • 著者名/発表者名
      大下 祥枝
    • 雑誌名

      沖縄国際大学総合学術研究紀要 第8巻第1号

      ページ: 1-39

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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