研究課題
基盤研究(C)
1.資料の収集面における実績映像・音楽資料に関しては、平成16年8月26日から9月1日にかけてシンガポールへ現地調査に赴き、九鯉洞を中心に目連戯などの映像資料を収集した。また、平成17年3月に江蘇省東南部へ現地調査に赴き、南通・如皋市の農村で童子戯や通劇などの映像資料を入手した。その後も如皋市出身の研究者朱瑞平氏(北京師範大学副教授)の協力を得て、平成17年8月、平成18年2月の二度、童子戯の巫師や通劇の劇団員へのインタビューを行い、従来知られていなかった計16種類の童子戯・通劇の儀礼の台本や唱本を撮影収集した。2.資料の整理面における実績『中国戯曲音楽集成』、『中国曲芸音楽集成』などに収録される演劇・伝統芸能の楽譜から中国江南で有名な劇種・演目の曲を選んで電子化し、MIDIファイルの簡易データベースを作成した。次に現地調査で収集した各種音楽・映像資料の中から有名な部分を選択して採譜、電子化した。また、歌辞については収集した手抄本の「魏九郎出世」、「三界表」を校訂しテキストを電子化し、「魏九郎出世」の校訂については原本の影印、各種台本・唱本の目録とあわせ報告書で公表した。巫師や劇団員へのインタビューについても朱瑞平氏の助力を得て中国語に整理し、報告書に掲載している。3.資料の分析面における実績林智氏が開発した連続する音の高低や出現頻度を計量的に分析するプログラムW-Energyと自己組織化マップ作成の統計処理プログラムを併用してMDIファイルを解析し、音曲の地域差をある程度、視覚化・数値化することに成功した。また2音の移行についてみると、長篇であっても一定の移行パターンが一貫して見出されること、劇団の音曲にも演目に限らずパターンが決まっていることなどを明らかにした。歌辞の計量分析についてはまず試みにテキストデータの電子化が進んでいる『三国演義』を材料に自己組織化マップで解析し、その結果について平成16年9月に韓国で開催された第3回中国古代小説数字化研討会で発表を行った。音楽については如皋童子戯を中心に江南地方の演劇・芸能の音楽を解析し、その成果を「越境する伝統芸能-江蘇如皋童子義の事例研究から」として報告書で公表している。
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中国伝統芸能の音曲と歌辞の関係についての計量的研究(平成17年度基盤研究C研究成果報告書)
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