研究課題
基盤研究(C)
1.初期シヴァ教プラーナの代表作である原『スカンダプラーナ』(6~7世紀成立)中のヴィンディヤ山女神神話サイクル全18章すべての暫定的な校訂テキストとシノプシス(最終版は2008年度に完了、2010年出版予定)を作成した。その3分の2は2004年12月に提出した博士論文の資料部とした。また7世紀までの戦闘女神の成立過程について、この資料の分析を核として博士論文の研究部分にまとめた。この資料はヴィンディヤ山女神神話を詳しく語る最古のものであるが、これまで学会に知られておらず、博士論文はこの資料に基づく初期女神信仰史の再構築を目的とする。2.原『スカンダプラーナ』に登場する女神たちは主として、シヴァ神話においてすべての女神の最高位に位置するシヴァ妃パールヴァティー、ヴィンディヤ山女神等の戦闘女神、動物や鳥の頭などの恐ろしい姿をもつ母神群の三グループに分類できる。同文献中の上記1の資料、第32章のダクシャ神話、第171章後半のコーティーヴァルシャ縁起譚において、この3グループの女神がどのように階層化され、体系化されているかを検討し、その結果パールヴァティーを頂点として、当時民間で進行されていた戦闘女神と母神群という異なる種類の女神たちを彼女の二次的、三次的顕現とする神話の語りを通して包括することで、シヴァ教内に多様な女神信仰を取り込んでいく戦略を明らかにした。3.コーティーヴァルシャはシヴァ教資料から、中世に初期のシヴァ教の主要な聖地の一つであったことが知られている。上記のこの地の縁起譚を叙事詩の関連部分、碑文資料と比較検討した結果、この地方(北ベンガル)で信仰されていたブラフマプトラ河の娘とされる女神が母神タイプの恐ろしい女神として次第にシヴァとパールヴァティーに関連付けられ、パーラ期には信仰の焦点は女神からHetukaと呼ばれるシヴァ/バイラヴァに移行するという、女神信仰がシヴァ教に取り込まれていくおおよその過程を明らかにした。
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山崎・小西編世界歴史大系『南アジア史1:先史・古代』山川出版社
ページ: 294-317
Hisotry of South Asia 1: Prehistory and Ancient Period.(Ed.by G.Yamazaki and S.Konishi.)(Yamakawa)
The Vakataka Heritage. Indian Culture at the Crossroads. Ed.by H.T.Bakker. Egbert Forsten, Groningen.
ページ: 167-178
The Vakataka Heritage. Indian Culture at The Crossroads.(Ed.by H.T.Bakker.)(Egbert Forsten, Groningen)
Doctoral thesis(Univ. of Groningen), Downloadable from http://irs.ub.rug.nl/ppn/270752684
ページ: x+358
Origin and Growth of the Puranic Text Corpus with Special Reference to the Skandapurana. Papers of the 12th World Sanskrit Conference, vol.3.2. Ed.by H.T.Bakker. Motilal Banarsidass, Delhi.
ページ: 79-109
Doctoral Thesis(Univ.of Groningen). Dec.
Origin and Growth of the Puranic Text Corpus with special reference to the Skandapurana. Papers of the 12th World Sanskrit Conference(Ed.by H.T.Bakker.)(Motilal Banardidass, Delhi.) vol.3.2