1.台湾の図書館における当該資料の調査を行い、今年度は台北の国家図書館を中心に所蔵資料の整理を行った。1950年代から1960年代前半を代表する詩雑誌である『現代詩』『創世紀』『藍星』については、50年代の創刊から60年代までの国家図書館所蔵分について、ほぼ作業を終わっており、現在、データベース化の作成に着手するとともに、それをもとに分析を始めている。さらに、当該時期に活躍した文学者・詩人の詩集などの資料の収集を幅広く行っている。あわせて、林亨泰・杜國清などの詩人にもインタビューを行うとともに、台湾の現代詩研究者との研究交流を行っている。 2.収集した資料や国内での研究交流をもとに、大陸から台湾に移住し、1950年代に文学活動を始めた代表的詩人の一人である余光中の詩の翻訳作業を行い、国書刊行会出版の台湾現代詩シリーズの第3巻「楊牧・余光中・鄭愁予・白萩」にまとめた。台湾の現代詩人の作品のまとまった翻訳は、このシリーズが日本では始めてのものである。 3.前年度までの国際学会での既発表中国語論文を日本語になおしたものを下敷きにしているため、研究発表欄には記載しなかったが、今年度の成果をもとに加筆し、「林亨泰における現代性と郷土性」と「路上のトスカー李魁賢詩における都市のイメージ」の二篇の論文として、『境外の文化-環太平洋圏の華人文学』(山田敬三編、汲古書院、2004.12)に収録している。
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