明清間に公刊されたr牡丹亭還魂記』20種につき、各版本を校合した結果、以下の結論を得ることができた。 1.明代に公刊された『牡丹亭還魂記』は、第I群(石林居士刻本・朱元鎮校刻本)の系統が最も原初の形態を保つ版本である。 2.やや時代が下って沈環の『南曲全譜』に基づいて校覈を施し、改訂が施された第II群(文林閣刻本・朱墨套印本)が別系統の版本として行われた。 3.しかしながら同系統の版本は、天啓・崇禎年間に至って傍系の第皿群(詞壇双艶本・蒲水斎校刻本)に一部襲用されるにとどまる。 4.最終的には基本的に第I群に依拠しながら、第II・第III群での改訂をも援用した増訂版『牡丹亭還魂記』とでも言うべき第IV群(柳浪館刻本・清暉閣批点本・安雅堂刻本・独深居点定本・汲古閣刻本・張弘毅著壇刻本・竹林堂輯刻本)が完成された。第IV群は、湯顕祖が執筆した当初の姿に立ち返ろうとしており、第II・第III群がごとき版本は、時代の推移とともに淘汰されていった。 5.このことは清代に至って、第IV群を底本とした第V群(三婦合評本・芥子園刻本・才子牡丹亭・氷糸館刻本)が行われることからも十分に首肯できよう。もちろん、第VI群の曲譜(格正詞調本・吟香堂曲譜本・納書楹全譜本)においても第IV類が底本とされている。
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