本年度は、本研究を行うための先行研究の調査・整理と電子テキスト等の基礎データ作り、及び研究成果の発表の準備に取り組んだ。 まず、基礎データ作成の一環として、唐宋古文の文体論に関する先行の研究を日本、中国、台湾等のそれぞれの資料から調査・収集し、整理した。それを読解し、先行研究の方法論を分析するとともに、唐宋古文を代表する唐宋八大家の8人それぞれの電子テキストを作成することを試みた。具体的には、パソコン、スキャナ、中国古典文のCDロムを購入し、アルバイトを雇い、関連箇所をダウンロードするなどして、本年度は唐宋八大家のうち歐陽脩、蘇軾の2人のテキストを完成させた。残りの6人についても継続して電子テキストの作成を行っている。 研究成果の発表については、平成16年度九州中国学会(於鹿児島大学)、第2回宋詞研究会(於愛知大学)でそれぞれ研究発表を行った。また、中国の上海古籍出版社より、研究成果の一部を含めた『復古与創新』(単著)を出版予定で、出版社との打ち合わせと原稿提出のため11月に上海の復旦大学へ行った。更に、中国における唐宋八大家の版本の所蔵状況を調査するために、北京の国家図書館に行き版本調査を行った。来年度以降は作成した電子テキストについて、編集ソフト(EMエディター)を用い、計量分析的手法を用い、唐宋八大家を中心とする唐宋古文の実用面についての文体論の考察をより具体的に進めていく予定である。
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