平成19年度は、2回の国際学術研討会での研究発表と3本の論文の執筆を行い、及び16、17、18、19年度の研究を踏まえ、その成果をまとめた報告書の作成を行った。 まず、8月に中国江西省において開催された「紀念歐陽脩誕辰1000周年曁第6届中国古代散文研究国際学術研討会」に出席し、「従虚詞的使用来看歐陽脩《五代史記》的文体特色」と題して研究発表を行い、また9月に台湾大学で開催された「紀念歐陽脩一千年誕辰国際学術研討会」では「試論歐陽脩史書的文体特色」と題して研究発表を行った。これら発表に基づいて、「虚詞の使用から見た歐陽脩『五代史記』の文体の特色」(中国文学論集第36号、2007年12月)、「歐陽脩の歴史書における文体上の特色」(比較社会文化研究第14号、2008年3月)という2本の論文を公刊した。更に、前年度からの研究を踏まえ「白居易「策林」考-その構成と文体上の特色-」(白居易研究年報第8号、2007年10月)という論文を発表した。 また、本年度は本研究の最終年度に当たり、報告書の作成を行った。報告書の構成は、上篇「唐宋古文における計量文体学的考察」と下篇「唐宋古文文体の特色」の大きく2部に分かれ、上篇第1章「唐宋古文における計量文体学的考察手法について」、第2章「沈徳潜『唐宋八家文読本』収録「記」作品における特徴的パターンの抽出」の2章については、この報告書作成のために書き下ろしたものである。下篇収録の8章は、いずれもこの4年間に発表した論文で構成されている。 以上を通して、唐宋古文の特色について、特に計量文体学的側面から総合的に考察した。
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