漢詩は、東アジアの共有文化遺産である。 琉球の漢詩は、中国、日本、朝鮮、安南等の地域と密接な関係を持っている。琉球の詩人がこれらの地域を実際に訪れて作品を作ったり、詩人との贈答をしたり、琉球を訪れた中国や日本の詩人が、琉球を題材にした作品を残したりしている。 今年度は、中国とベトナムの調査を実施して多くの漢文資料を入手した。中国蘇州市では、琉球最初の漢詩集『中山詩文集』の編纂者程順則の父親程泰祚の墓(蘇州市上方山にある)と、関連地点の調査をした。福建省福州市では、福建師範大学附属図書館で、『琉球詩課』その他の琉球関係資料の閲覧と資料収集に当たった。『琉球詩課』は、清代に琉球から北京の国子監に派遣された留学生の作品を集めて、指導に当たった教習の評定を付し版行した貴重な資料である。 ベトナムのホーチミン市では、ホーチミン図書館等において資料の調査と収集に当たった。『漢南詩集』他数点の漢詩集をCD-ROMで入手することができた。 中国とベトナムで入手したこれらの資料について、現在分析を進めているところである。『琉球詩課』の内容から琉球の留学生の国子監における学習の状況、作品の特徴を明らかにすること目指している。
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