研究課題
基盤研究(C)
本研究は、『老子』の写本系統、支謙の漢訳仏典、最古のパーリ語仏典の読解の三分野を主な研究対象とした。その研究成果は次の通りである。『老子』の古写本、刊本の収集・読解作業を進めて、そのテキスト流伝の根本的な問題について考究し、一定の結論に達した。この研究のための基礎研究として、用書『老子』の校注作業を、郭店楚簡および現行各本との比較に重点を置いて進め、これを完成することができた。『ダンマパダ』、『スッタニパータ』の写本系統について調査し、関連資料の収集、読解を行い、両仏典の写本流伝について基本的な理解を得た。パーリ語仏典の『スッタニパータ』アッタカヴァッガ篇および『ダンマパダ』の原典を読解し、支謙漢訳の『義足経』『法句経』との比較対照を全詩句について完了した。王弼の老子注、支謙の漢訳仏典について、それぞれ研究を進めて、支謙訳の『法句経』が王弼注の影響を強く受けていることを指摘し、これを論文「『法句経』と『老子』をめぐる写本上の若干の問題について」として発表した。以上の研究を踏まえて、以下の三点を研究成果報告書として提出した。(1)論文「『老子』テキスト流伝の諸特徴」(2)論文「支謙の訳業とブッダの言葉」(3)校注「馬王堆帛書『老子徳道経』校注」支謙の初期大乗経典の訳業、『義足経』の典拠調査、帛書校注の精度を高めること等は、今後の研究課題としたい。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
言語文化(同志社大学言語文化学会) 8巻3号
ページ: 485-518
Doshisha Studies in Language and Culture Vol. 8, No. 3