研究概要 |
主に文献調査と郵送法による継続的なアンケート調査を行い,次年度の準備を完成した. 文献は近年の先行研究と報告資料を集めた. アンケートの質問事項は一般の方言調査と類似して,一定の意味に対応する語形を問うものであり,とくに人権及び利益の保護の取扱いに注意を要する内容にはならないが,慎重を期して発表する際には個人名は伏せた.ここからクラスター分析などの多変量解析によって,難題とされていた語彙による方言区画にも一定の精度の量的分析が可能となった.また,同一地点に生起する複数の語形には何らかの意味の違いがありうるので,インテンシブな質的分析(意味分析)を行う必要がある。 調査項目はこれまでの1200番に続く200項目である. アンケート調査によって得られた資料は世界の都市×語形の二次元配列とし,都市のスペイン語の多変量解析を行える形にした.語彙バリエーションの様相は語彙の地理分布を数量化した二次元マトリックスで表現されるが,これは客観的である反面,現地の実状を捨象したデータとなり,そのままで語彙の実態を反映することにはならない。よって各語をコンテキスト(文脈)とシチュエーション(状況)の中に位置づける必要がある.前者へのアプローチのためにコーパス言語学の手法を用いて独自の分析プログラム集を完成させた。後者には写真や動画を用いた視覚的語彙集の作成が必要であるが,資料の整理までを行った. このようにインテンシブな現地調査とエクステンシブなアンケート調査を繰り返しながら世界で70名を越す参加者と連携し年度毎のプロジェクトを継続する.
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