平成17年度の研究実績概要 1.多言語併用状況の最新動向調査: スイス・グラウビュンデン州において使用されているロマンシュ語および周辺のゲルマン系諸方言およびイタリア系諸方言について、平成17年3月にスイス・クール市にある『グラウビュデン・ロマンシュ語辞典』編集局で情報収集を行ったが、その調査資料を分析し、2005年時点での言語併用状況に関する実態を把握した。 2.形態統語形成プロセスと使用実態の分析: スイス・ロマンシュ語の語彙の中で、技術革新や現代の生活圏の拡大とともに増加する合成語・複合語・動詞連語などについて、現地研究者と意見交換を行ったうえで、多様なコーパスに基づいて形成プロセスを分析した。 3.コーパスの構築: 印刷媒体などの従来のメディアを活用するのみならず、インターネット上で発信されているロマンシュ語サイトから合成語・複合語・動詞連語などの用例収集を昨年度に引き続き進めた。言語データの自動検索システムを用いた基礎コーパスを作成する段階に入っている。 4.成果の発表: 以上の研究成果を公開するために、平成18年5月の日本ロマンス語学会において「スイス・ロマンシュ語における新語形成の諸問題」と題する研究発表を行う準備をすすめた。
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