研究概要 |
本年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 本年度は本研究の初年度にあたるが,今後の研究の出発点として主にオランダ語のダイクシスの研究状況調査をおこなった。具体的な研究実績は以下のとおりである。 1)ベルギー・ルーバン大学での調査 国内にはオランダ語のダイクシスを主に研究している研究者は管見の及ぶ限りでは見あたらず,また,オランダ語学の主要な研究雑誌も日本では手に入らないため,平成16年8月9日から19日にかけて,ベルギー・ルーバン大学を訪れた。そこでは,ヘーレルト教授を訪ね本研究に対する助言を求めると同時に,付属図書館で関係する文献のコピーをおこない,入手した文献は帰国後精査した。 2)オランダ語文法書におけるダイクシスの記述調査 オランダ,ベルギーで出版されているオランダ語文法書に基づきダイクシスに関連する項目を精査した。特にAlgemene Nederlandse Spraakkunstのダイクシスに関する記述は比較的詳細であり,今後の研究の参考になると思われる。 研究論文としては,Zu einer Eigenschaft der Deixis des japanischen Bewegungsverbs kuruというタイトルの論文を公表した。本論文は,日本語のダイクシス動詞「来る」を扱ったものだが,そのダイクシスの使用条件にはル形・タ形という時制の差違,さらには,ル形・テイル形というアスペクトの差違が関与することを示した。なお,時制,アスペクトが西ゲルマン諸語のダイクシス動詞の使用条件にも関与するのか調査する必要がある。
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