研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、発話中のポーズ挿入に伴う喉頭の調節の実態を解明することである。研究代表者による先行研究から、発話中にポーズが挿入されると、ポーズ前後の発話のリズムやピッチに特徴的な変化が現れることや、リズムとピッチではポーズの影響が及ぶ範囲(モーラ数)に特徴的な違いがあることが明らかにされている。これらの音響的解析の結果は、ポーズ挿入に応じて各種発話器官の運動の再調節が行われていることを示唆するものである。本研究では、ポーズ挿入に伴う調音面(喉頭調節)の解析を行うことにより、ポーズ現象に関するこれまでの一連の研究をさらに発展させることを目的とする。データ収録に先行して、ファイバースコープで喉頭を観察する際の喉頭の深度を測定する有効な方法についていくつかの可能性を検討したが、いずれも、体内に挿入することを考えた場合に安全が確保できないことから困難であるとの結論に至り、従来どおりの方法でファイバースコープデータの収録を行った。短い日本語発話文を用いて、句境界における2種類のポーズ(「普通の長さ」のポーズおよび「短い」ポーズ)に対応した喉頭の構えをファイバースコープにより記録し、2名の話者について定性的な分析を行った。その結果、短いポーズについては、いずれの話者も、声門閉鎖と喉頭上部の狭めを同時に伴うことが明らかになった。それに対して、普通のポーズについては、話者間ならびに話者内のばらつきがあることが明らかになった。すなわち、2名の話者のうち一方の話者については、声門開大が一貫した特徴であったのに対し、他方の話者では、声門開大を伴う場合と、短いポーズのように声門閉鎖と喉頭上部の狭めを同時に伴う場合の両方のケースが確認された。本研究より、ポーズ、すなわち無音区間という音響的特徴をもたらすために、2種類の喉頭調節が可能で、それらは基本的には「普通」と「短い」というポーズの種類に対応しているが、話者によっては、その対応関係は必ずしも一貫していないことが明らかになった。
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Colloquium
Proceedings of the 37th Linguistic Colloquium
Proceedings of The International Congress of Spoken Communication, Naples (in press)
Proceedings of The International Congress of Spoken Communication(Naples) (in press)