研究課題
本研究ではニューカレドニアと周辺地域の先住民語の記述、記録、出版を目指した。大角翠(研究代表者)は平成18年度は研究休暇を得て、ハワイ大学、ケンブリッジ大学、ロンドン大学(SOAS)、マックス・プランク研究所(ライプチッヒ)、ラ・トローブ大学で客員研究員としてニューカレドニア先住民語を中心としたオセアニア言語に関する研究、執筆活動、資料収集を行った。ハワイ大学ではブラスト教授他のオセアニア言語学者と研究協力を行い、危機言語ドキュメンテーショングループとも協力、SOASでは、Austin教授主導のELAP(消滅の危機に瀕した言語のドキュメンテーション及びアーカイブ活動)のワークショップに参加した。その他CNRS(パリ)、ケンブリッジLeverhulme発達人類学研究所の研究者との研究協力も行った。平成19年2月〜3月にはニューカレドニアのヌメアとワウェ部落でネク語の聞き取り等の言語調査を行った。収集された音声やテキストはコンピューターに入力され、それをもとに文法分析、辞書編纂が進められた。得られた知見はハワイ大学、ロンドン大学、マックス・プランク研究所、ベルリン大学、ラ・トローブ大学でのセミナー、講演で発表、9月にはランカスター大学での国際、統語構造学会でも発表した。本研究によって少数言語が密集し未知の部分を多く残すメラネシア地域の言語の一端が明らかにされた。これらの言語が現在、社会の変容の中で急速に衰退し、次世代に継承されていっていない状況も論文で報告された。ケンブリッジ大学のR.Foley教授のグループは、先史人類がアフリカから移動していった経路としてメラネシアに大変注目しており、改めて言語学が考古学、先史人類学と双方向に貢献しあっていくことの意義が確認された。また、少数言語話者の独特な認知体系の解明は言語理論、認知・脳科学に寄与するところも大きく、言語の社会、文化との関連性を探る上でも重要である。
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太平洋学会誌 96号
ページ: 17-26
NEWSLETTER(日本オセアニア学会) 87号
ページ: 1-12
オクスフォード神戸国際セミナー、ポスター発表
2nd Conference on the Syntax of the World's Languages, University of Lancaster、学会発表