研究概要 |
平成16年度から18年度にわたる本研究は、ニューカレドニア島とその周辺地域の先住民語、特にネク語、ティンリン語の記述を中心とした。この二言語は話者が200人余りの深刻に消滅の危機に瀕している言語である。両言語とも『Tinrin Grammar』(Osumi 1995)以外、ほとんど記録が無い。緊急の調査と記録の必要が迫られている。興味深い言語現象を多く持つこれらの言語の研究は言語理論、言語類型学に貢献するだけでなく、先史人類の移動という観点から比較言語学や考古学においても大変重要である。 研究代表者は平成16年、17年の8、9月、19年2、3月にニューカレドニアのワウェ原住民部落及びヌメア市に滞在し、ネク語の語彙やテキストの収集及び社会言語状況の調査を行った。ティンリン語の語彙調査も行った。ヴァヌアツ、ブーゲンヴィル、ニューギニア島嗅部の言語や言語状況に関する情報は研究協力者および海外共同研究者から得た。辞書、文法の仏訳は海外共同研究者の協力で進行中である。 出版成果の主なものは次のものである:動詞の仕組み一文化とことばをひもとくカギ『今、世界のことばが危ない』(クバプロ)・現代社会とメラネシアの言語『太平洋学会誌』96号・評価に関わる文法表現と意味一オセアニア言語を中心に『NEWSLETTER』日本オセアニア学会・Result-evaluation in grammar : a preliminary survey学会発表、2^<nd> Conference on the syntax of the World's Languages, University of Lancaster・その他、ハワイ大学、ロンドン大学(SOAS)、マックス・プランク研究所(ライプチッヒ)、ベルリン大学、ラトローブ大学でネク語、ティンリン語についてセミナー講演。
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