本年度(平成17年度)は、初年度に引き続き、本研究代表者笹間・分担者渡辺がこれまで調査研究をおこなってきた海岸ツィムシアン語とスライアモン語において、クリティックがどのような形式的・意味機能的特徴(語根・接辞との位置関係、ホストの選択など)をもつか、記述をすすめるとともに、代表者・分担者が研究対象とする海岸ツィムシアン語とスライアモン語以外の言語、とりわけ北アメリカ先住民諸語にみられるクリティックがどのような形式的・意味機能的特徴を有するか、文献資料や言語研究者から情報を収集した。 夏期には、それぞれ1-2ヶ月にわたる現地調査をおこない、海岸ツィムシアン語・スライアモン語のクリティックにかんするさらなるデータを収集した。 さらに、3回の研究打ち合わせと、各自1回の情報収集をおこない、それぞれが研究対象とする言語のクリティックの諸性質と分析上の問題点、文献資料等から情報を得た北アメリカ先住民諸語のクリティックの諸性質について情報を交換するとともに、今年度および次年度の研究について討議した。 共に北アメリカ北西部で話される海岸ツィムシアン語とスライアモン語をとってみても、クリティックの形式的・意味機能的特徴にはさまざまな違いが見られることが明らかになっていたが、他の北アメリカ先住民諸語のクリティックにも、これまでヨーロッパの言語にかんしておこなわれることが多かったクリティックの研究にはみられないような、多様な姿が観察されている。
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