本年度の研究計画もほぼ予定通り進められた。 (1)建仁寺両足院所蔵の典籍類を、抄物、五山版、宋元版を中心に整理し、書誌を取り、必要な文献についてはデジタルカメラで撮影する作業は継続し、抄物関係の書籍はだいたい撮影が終わっている。ただ、大量のデーターになっているので、整理が追いついていない。 (2)本年度は、黄山谷関係の典籍を主として分析してきた。『山谷抄』『山谷幻雲抄』それに、『山谷詩』五山版などの両足院に蔵する資料の研究を通じて、『黄烏鉢抄』『帳中香』などの山谷関係の資料の収集も行い、国語の面だけでなく、禅僧の知識の源泉の一つと位置づけて分析している。そのために、調査が両足院以外の資料にも及び、更に、大量のデーターが集積されつつある。 (2)本年度には、『正法眼蔵』と『柳文抄』の刊行を目指していた。しかし、『正法眼蔵』は新出の60巻本で、写本としてはもっとも古いものであり、『柳文抄』はこれまでほとんど研究されていない資料であるため、解題の作成に時間がかかり、本年度中に刊行できなかったことは残念である。
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