研究課題
基盤研究(C)
平成16年度〜平成18年度にて、「鎌倉時代の古記録」として、藤原経光『民経記』(記録1226〜68)、藤原実躬『実躬卿記』(1283〜1307)、近衛家実『猪隈関白記』(1197〜1232)に於ける「記録語」「異名・異称」「記録語法」等の調査を行った。鎌倉期の古記録としては、『民経記』が「記録語」「異名・異称」「記録語法」等の用例が多種多様であり、鎌倉期の特徴がよく表れている古記録資料であることが判明した。『民経記』には、斎木一馬氏の取り上げた「記録語」では「有若亡18、邂逅15、景迹1、饗応7、計会17、経廻8、骨張4、相博3、左道5、青女3、逐電149、突鼻3、飛行3、秘計18、牢籠3、〓弱11、和讒2」が使用され、その他「白地22、比興61、勝事5、与奪56、如雨脚5、等閑1、露顕3、奔営9、奔波39、経営9」等の「記録語」も見える。「異名」では、「宇県(宇治)20、宇懸(宇治)1、下若(酒)1、華洛(京都)3、五明(扇)2、上林(酒の肴)2、十字(餅)1、白波(盗賊)7、長安城(京都右京)1、龍蹄(駿馬)8、土木(造作)9、回禄(火事)6、鵝眼(銭)4」等が見える。「唐名」では、「博陸27、攝〓6、蓮府1、丞相12、相府68、執柄80、相国113、相公131、蘭臺6、鸞臺7、黄門110、亞相108、拾遺35、大丞66、金吾84、戸部28、武衛=4、李部3、尚書27、羽林39、雲客53、侍中17」等が見える。これらの調査を基に、古記録語法がどのようにして口頭語化するのか、その仕組みについての考察や、「候気色(ケシキヲウカガフ)」とその周辺についての考察、「(さ)せらる」(使役+尊敬)から「(さ)せらる」(尊敬)化についての考察、「被下(くださる)」の展開についての考察を行った。『民経記』の「記録語」「異名・異称」「記録語法」等の記述研究と他の古記録資料との比較研究については、今回の報告書では「覚書」として概略を示した。今後、更に比較検討を加え、詳細な報告を行いたい。
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