本年度は年度当初にたてた研究計画の大部分を実行に移すことができた。 1)第一回研究打ち合わせ会議および招待講演 8月23日から25日まで、本年度第一回の研究打ち合わせ会議を北星学園大学で開催した。初日には、国立国語研究所より朝日祥之研究員をお招きし、「日本語のスタイル変異を記述する枠組みを探る」と題した講演をお願いした。高野(研究代表者)、太田(研究分担者)の他に、近隣の大学より3名の参加があり、活発な質疑が交わされた。 2)発話資料収集のためのフィールドワーク 若者層における発話ピッチの平坦化の準備資料として、北海道日高管内静内町(高野担当)と鹿児島県鹿児島市(太田担当)において、発話資料を収集した。予め読み上げ文(天気予報の原稿・単独文)を用意し、それぞれの地域で20名程度の大学生または高校生から発話を録音し、各被験者から生育環境・家族構成などの個人情報を取得した。 3)予備分析および第二回研究打ち合わせ会議 準備資料を音声ファイルに転化し、ピッチの平坦化に関する予備分析を行った。その結果を第二回の研究打合会議(鹿児島大学、1月17日〜22日)に持ち寄り検討した。 4)招待講演 鹿児島大学での第二回研究打ち合わせ会議の最終日(22日)に招待講演会を開催した。愛知大学の片岡邦好氏(「看板広告にみる方向指示と地域性」)と国立国語研究所朝日祥之氏(「位相研究とスタイル変異研究との接点を求めて」)による講演会を行い、高野、太田の他に、鹿児島大学大学院生および学部生4名の参加があった。 5)発話資料収集のためのフィールドワーク 平成2月から3月にかけて、予備分析で明らかになった問題点や課題をもとに、新たな読み上げ原稿および発話タスクを追加した発話資料収集を行った。同一の読み上げ原稿およびタスクを用いて、高野は札幌市出身の大学生および北海道日高管内静内町在住の高校生と老年層話者(60歳代から70歳代)から、太田は鹿児島県出身の大学生および老年層から発話資料および個人情報を収集した。
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