研究概要 |
1.研究の目的 日本語環境を持たない海外のインターネット閲覧ソフトウェア(ブラウザ)でも,現地の日本語研究者が,高品質な漢字データベースを確実に検索できるようにするための情報基盤の研究開発を行う。具体的には,電子政府の行政情報化で利用が予定されている6万字種漢字データベース(以下,「電子政府6万字種漢字データベース」という)を参考にしながら,英語版のWeb漢字辞書を新規開発する。 2.研究の方法 電子政府6万字種漢字データベースは,文字コードの相違によらず,海外でも確実に当該の字体が表示できるよう工夫されている。その長所を十分に活かして,本研究では英語版のWeb漢字辞書を開発する。 「文字化けを防ぐ」ために,検索画面に表示される文字は,「文字グリフ」として提供する。ここでの文字グリフとは字体の骨組みを示す文字図形デジタルデータ(つまり画像ファイル)を意味し,1文字を1ファイルの形式でブラウザ等に配信する。これは画像であることから,文字コードの相違によって引き起こされる文字化けの問題は解消される。 平成16年度は,Web漢字辞書の基本設計を行った。その際に,カナダならびにマレーシアの日本語研究・教育機関に在籍する日本語・日本研究者(日本語非母語話者)の意見も聴取した。 3.研究の成果 電子政府6万字種漢字データベースの概要を,カナダの国際学術会議で発表し,システム設計に役立つコメントを得た。また,ローマ字漢字変換のためのWeb用IME(入力方式)について,すでに国内外で製品化されているものを調査し,問題点と解決策を洗い出した。これらの成果は,基本設計書の形でまとめられ,来年度のシステム開発に活用される。
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