研究課題
一定の統語操作や形態的操作により文中の種々の要素が統語的・語彙的・意味的タイプシフトを引き起こすことを明らかにして、この派生上の質的変化に基づいた日英語の諸現象の分析を深化・拡張させた。富澤は、関係節形成に伴う統語操作の分析を通して、本来節として機能していた要素が述部へとその性質をシフトさせる仕組みが、意味のインターフェースにおいて読みとり可能(eligible)でなければならないとする読みとり可能性条件(Eligibility Condition)(あるいは完全解釈の原理(Full Interpretation))から導きだされるものであるとの提案を行い、それに基づいて、束縛条件(C)やその他の照応現象に観察される関係節の特殊性を説明した。また、この分析が、話題化構文に見られる同様の特殊性を説明できるばかりでなく、wh-句の長距離移動やA移動においても同様の特殊性があることを説明できることを示した。丸田は、形容詞句におけるタイプシフトの研究を中心に、特に、レキシコンの言語学、心理学に跨る統合モデルを考察している。単語の認知過程および辞書からの取り出し、さらにはレキシコン内の貯蔵方式等についての言語理論との整合性をも研究している。鈴木は、結果構文に典型的に見られる動詞のタイプシフト現象に関して、境界性に基づく構文的一般化を求め、動詞の拡張的な使用法と結果句制限に見られる構文的半生産性の基盤を探っている。具体的にはBoas(2003)に代表される用法基盤モデルに基づく結果構文の分析に対して、動詞makeを用いた使役構文と結果構文のアスペクト上の相違点から、類推によって両者を関連づける説明の不備を指摘し、構文的に独立した小節構造を基盤とする複合述語形成プロセスの解明を進めた。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
Annual Research Report, the Faculty of Literature & Social Sciences, Yamagata University 3
ページ: 1-27
Proceedings of the 60th Conference of the Tohoku English Literary Society (in press)
臨床神経心理 16
ページ: 49-57
山形大学紀要(人文科学) 16.1
ページ: 83-97
English Linguistics 23.1(in press)
平成15〜16年度科学研究費補助金(基礎研究(C)(2))成果報告書