研究課題
一定の統語操作や形態的操作により文中の種々の要素が統語的・語彙的・意味的タイプシフトを引き起こすことを明らかにして、この派生上の質的変化に基づいた日英語の諸構文の分析を進化・拡張させるとともに、結果構文等の重複領域における文法特性の二元的説明を提案した。富澤は、関係節や話題化構文、長距離wh移動等の節レベルで観察される束縛条件(C)等の特異性がいわゆる非循環的マージ構造に適応する再解釈原理によって導出されるとする仕組みが、強結果構文(Washio1997)における不完全軽動詞の移動によって形成される付加構造の再解釈に適用し、その結果、本構文の統語的特異性が導出されることを示した。また、この仕組みから、創造動詞の補部名詞句の統語特性、及び、知覚構文の統語特性が説明されることを示した。丸田は、形容詞句におけるタイプシフトの研究を中心に、レキシコンの言語学、心理学に跨る統合モデルの研究を進展させた。特に、Mental Property構文において、Agent-TierとEvaluative-Tierの多層意味階層分析に基づき、ヴォイス転換、of/byの交替、コントローラ特性に関する体系的説明を行った。鈴木は、動詞句のドメイン内でのタイプシフト研究として、結果構文の有界性制約について研究をさらに進展させると共に、本制約の反例とされる結果構文に関して、変化主体が素材(material)と産物(product)という二つの要素に分類される事象構造を持ち、その結果、形容詞結果句が構造上の主語を保証されなくなることによって副詞として再解釈されるいわゆる「みせかけの結果構文」であることを示した。
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