研究課題
これまで3年間に1)古英詩の詩的複合語、2)動物名の人間比喩の収集分類、3)上位語・下位語、総称語・種別語の比喩義における構造と階梯、この3分野において英語比喩研究を続けてきた。平成18年度には、分野1)では、最も有名な古英詩Beowulfの日本人研究者の75年に渡る業績を調査して、語彙研究、特にケンニングと詩的複合語の研究論文を収集し、自分の論文作成の参考にし、調査の副産物として「日本における古英詩Beowulf研究史」という題目の英文論文を作成、日本中世英語英文学会の慫慂で学会誌創立20周年記念号に寄稿した。これはさらに調査を進めて、平成19年度の日本英文学会全国大会の「中世英語研究の意義」というシンポジウムで発表予定となっている。分野2)では所属部局内の共同研究プロジェクトを通して同僚や大学院生と連携研究を行い、成果を論文集に発表した。この「共同研究動物メタファー研究:序」「イヌ科の動物名の人間比喩の意味範囲と構造 英語動物名のメタファー(4)」という論文によって、出版計画中の専門書『英語動物名の人間比喩の意味と構造』(全8章)の5章分が整った。分野3)においては分野2)での英語鳥名・動物名・昆虫名・魚名のメタファー表現を収集・分類する過程で新たに見えてきた「とり・けもの・むし」(生物の粗分類)、「とり・にく・さかな」(食用の分類)、「bird-beast-bug」(生物の粗分類)、「fish-flesh-fowl」(食用の分類)のような動物(名)の大分類の中で、哺乳類や鳥類、魚類などの名前の間の上下関係や、比喩義における対照関係・反義関係・類義関係を持つ動物名同士の類構造の解明に新たに取り組むテーマである。平成18年度には17年度に引き続いて、補助金によって英国大手新聞の200年分のデータベースThe Times Digital Archive 1785-1985の講読が可能になり、ジャーナリズムにおける動物名の特徴的使用傾向(poodle、chameleon等)を確認することが出来た。
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すべて 雑誌論文 (6件)
英語青年 152・3
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詩的言語とメタファー 言語文化共同研究プロジェクト2005
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