研究概要 |
小節は空のTの投射であり、空のTは,φ素性([人称]、[数]、[性])とEPP素性を持っていて、随意的に格付与特性を持っていると考える。このTP分析により、受け身動詞の補部が小節の主語になりうること、小節の主語がwh移動も名詞句移動も受けられることを説明することができる。 小節の述語が受け身動詞でない場合、小節の主語位置がθ位置であることを明らかにした。小節の述語が受け身動詞でない場合、虚辞のthereはθ位置に生起できないから、小節の主語位置に生起できない。小節の述語が受け身動詞である場合、小節のTのEPP素性により受け身動詞の補部が小節の主語位置に移動して、虚辞のthereが小節の主語位置に生起できない。以上のことから、小節の主語位置に虚辞のthereが生起不可能であることを説明できることになる。 例外的格標示動詞は、前置詞同様、斜格付与特性を持っていて、音韻的に空でない投射の主要部であるCやTに斜格を付与できないと考える。そのように考えることによって、非定形節の主語位置に前置詞句が生起できるが、節が生起できないこと、前置詞の補部位置に前置詞句が生起できるが、節が生起できないこと、節の痕跡が非定形節の主語位置や前置詞の補部位置に生起可能であることを説明できる。名詞類補部を選択しないthinkのような動詞が補文標識無しの語い主語不定詞節や小節を選択できること、名詞類補部を選択しないdeemのような動詞が小節を選択できることを説明することができる。 Cと音韻的に空でない非定形のTは随意的に格を持っていると考える。そのように考えることによって、PRO主語不定詞節、PRO主語動名詞節、for不定詞節、that節が定形節の主語位置に生起できること、小節や補文標識無しの定形節が定形節の主語位置に生起不可能であることを説明できる。
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