研究課題
基盤研究(C)
本研究は次の4点で進められた。(1)英語文献における日本語語彙の初出年調査はほぼ完結した。前年度にイギリス・オランダで調査し、補助金により貴重な文献を購入し、調査はほぼ完了した。但し、1900年以降の文献では特に柔道関係・米軍俗語・生花・日本食などの分野に限って調査を行ったが、時代的に多くの文献が出版されているため完全な調査はできなかった。(2)英語に入った語彙の辞書を利用した追加調査も行った。SODの諸版における調査を実施した。本辞書ほぼ10年毎に改訂されているので、これにより20世紀における日本語語彙の借用の歴史を通観することができるようになった。(3)日本語語彙が英語語彙体系に組み込まれる本来語化又は同化の過程は4段階に分けられる。第I段階(ほぼ原語のまま)第II段階(外来語)第III段階(借用語)第IV段階(本来語)である。400余語の日本語語源の語彙が1990年の時点においてどの段階に位置づけられるかの1方法を提示し、全語彙についてその段階を指定した。(4)本来語化が語彙のどの領域で実現しているかを考察した。(1)音韻体系における調査は進まなかった。(2)意味体系における調査はかなり進んだ.英語辞書(特にオックスフォード系)における日本語語彙の定義を詳細に点検し、その語が英語に借用されるに際し、拡大・縮小・転換・比喩的使用などが起こっている事を個々の語彙について調査した。(3)文法体系の面では、特に複数形を中心に考察を進めた。(4)語形成の面では、特に翻訳借用語の問題に深く切り込むことができた。日本語と英語との接触点には「外来語、借用語」「日本語+英語の混成語」「Japan 〜, Japanese 〜の表現」「翻訳借用語」が横一線に存在することを明らかにした。4段階と4領域の相関関係を明らかにするところまでは進めなかった。将来は、言語接触の歴史を語彙面において解明することができ、言語接触の原理に至ることが期待される。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (8件)
『言語と文化』愛知大学語学教育研究室 第12号
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