本課題は、母語話者や第二言語話者による日本語の使用、学習という実践のあり方を「具体的な文脈に属する複数の人間、道具のやりとりのダイナミクス」として考察するのを目的とした。研究代表者の柳町智治は、前年に引き続き、日本語学習者による教室外での言語使用データの分析と入門フランス語クラスでのフィールド調査のデータの分析を行った。これらの成果は、2編の論文と5本の学会・研究会報告(海外2本、国内3本)として発表された。 研究協力者の岡田みさをは、主に母語話者による日本語使用のデータの分析を継続して行った。ボクシングジムで女性トレーナーが指導を行っている場面のビデオデータの分析を中心に行い、この研究成果は、論文2本(海外1本、国内1本)、学会・研究会報告(海外2本、国内2本)として発表された。 本科研グループは、最終年度には、「マルチモダリティ」という側面から言語使用、言語学習の実態について検討し、人々の言語活動が相互に意味を規定する様々なセミオティックなリソースを通じて遂行されている以上、言語だけを取り出してその使用や学習を検討するよりは、むしろ言語がそうした相互行為の中で他のリソースとどのように組み合わさりながらアクションの達成に寄与しているのかを探るべきであるという提言を行った。この提言はokada & Yanagimachi (2007)として「Pragmatics and Language Learning 2007」において学会報告されたが、来年度以降の調査で引き続き考察していきたいと考えている。
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