研究課題/領域番号 |
16520313
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
衣川 隆生 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (30282289)
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研究分担者 |
西村 よしみ 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (40208228)
小野 正樹 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (10302340)
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キーワード | 日本語学習者 / 作文 / 評価 / T-Unit / I-Unit / 量的指標 |
研究概要 |
本研究の目的は、経験を積んだ評定者の主観的・統合的評価と、プレイスメント受験者が書いた文章から機械的に抽出される量的な指標との相関関係を分析し、作文評価の電算処理システムの構築の基礎を築くことにある。本年度は、第一言語及び第二言語における作文評価に関する先行研究を収集、分析し、評価方法の再検討を行った。その結果に基づき、留学生の作文に対する主観的評価を行うための評価方法を設定した。この評定者間信頼性と評定者内信頼性を検討するために、経験を積んだ複数の評定者が設定した評価方法を用いて2度評価を行った。評価の対象は、現在までプレイスメントテストの結果として収集している留学生の書いた日本語文章から、説明文一課題を選び、母語別による層化抽出法によりその課題の作文を30抽出した。 さらに、第一言語及び第二言語における計量的文章分析に関する先行研究を収集、分析し、留学生が書いた作文から抽出する分析的・客観的な量的指標の抽出を行い、その量的な指標と経験を積んだ評定者の主観的・統合的評価との相関関係を分析した。 その結果、主観的・統合的評価の高い文章の量的特徴として、1)文字数とアイデア・ユニット数が多い、2)一文の長さ、及びT-Unitの長さが長い、3)漢字数が多い、という三点が抽出された。一方、4)語数、中・上級語の割合は、語彙力を測定する量的な指標とはならない。5)「言語使用」を測定する量的な指標として仮定していたT-Unit数、1T-Unitの平均語数、及び「「言語技術」を測定する量的な指標として仮定した板漢字含有率は、本研究の結果からは、作文評価の量的指標とはならないという結果も示された。
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