研究概要 |
本研究では,日本語を母語としない日本語教師が日本語教育研究者として育っていく過程を詳細に記述・分析することによって、日本語教育学研究者の養成の方法論への示唆を得ることを目指ものである。 本年度は計画の最終年に当たるので,これまで収集したデータを集約して,報告書の形にまとめることを目指した。 (1)昨年度までに日本語教育研究者養成大学院コースの学生に対する個別インタビューを行ってきた。昨年度中に,インタビューの録音を書き起こすなど,データとしての整理を進めてきたが,未完成の部分について今年度も作業を継続した。 (2)一昨年度行った大学院コース学生に対するフォーカスグループインタビューの結果の分析を行う。 (3)これまで検討してきた理論的枠組みを利用してインタビューデータの分析に着手した。 フォーカスグループインタビューの結果からは、大学院コース学生が自らの研究過程をどのように認知しているかという研究認知の一端を明らかにすることができた。それによると、研究過程のある段階で、先行研究をどのように利用するかについてが学生にとって課題だった。 また、個別インタビューからは、修論執筆の過程で学生が自分自身で必要な知識や技能を身につけるだけでなく、自らの周りから様々なリソースを得ようとして、研究者コミュニティを自らの力で形成していく様子がわかった。また、コミュニティとは相互支援的な関係が構築されていた。 分析についてはまだ未完了の部分も多く残されているが、分析が完了したものについては、論文として公表した。 また、論文として公表された内容を中心に報告書を作成した。
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