研究概要 |
日本語教育において,「協勧」が注目される中,「協働」とは何か,何をもって「脇働」と見なすのかを検討するため,協働志向の実践研究の現状を把握すると同時に,実際に授業分析を行うことにより,「協働」の実態を知ることと分析方法の可能性を探ることを課題とした。 協働志向の教育実践・実践研究のデータベースを整備し,扱われる言語技能,学習者の日本語能力レベル,研究に用いられるデータの種類を観点に,傾向分析を行った。扱われる技能は「話す」「書く」が多いこと,日本語能カレベルについては,初級から上級まで様々なレベルで「協働」が取り入れられているが,初級であれば「話す」,上級であれば「書く」が多いことがわかった。研究に用いられるデータについては,協働志向の教育実践に関する研究では,データ収集が容易なアンケートを用いることが多いと同時に,「協働」の複雑性をとらえるために授業そのものから得られるデータ等を複数用いている場合も少なくないことが明らかとなった。 また,協働を目指した授業を,教育実践者自身と研究者がそれぞれ分析した。教育実践者自身による研究では,「振り返りシート」と授業後のフィードバック時の話し合いの記録をもとに分析がなされ,研究者による研究では,授業分析及びコミュニケーション分析のための手法であるFOCUS(J.F.Fanselowが1970年代に開発)を用いて分析が行われた。 成果報告書には,3本の論文(協働志向の実践研究のデータベースをもとにした研究「脇働志向の教育実践とその研究方法の実際」,実践者自身による授業の分析「日本語授業に見られる『協働』-日本人ビジター参加の読解授業から-」,研究者による授業の分析「実践研究 コラボレーション授業の試み」)とともに,教育実践・実践研究の一覧(全214件)をまとめた。
|