研究期間前半で培ったCALL教室を中心にすえた遠隔語学学習およびe-learningに係る各種の技法に関するノウハウを活用し、実践的で自学自習的、かつ自己発見的な英語学習を支援するためのシステムにとって最も必要とされるマルチメディア教育環境のあり方を模索すると共に、The British National Corpusに代表される大規模英語コーパスとのリンクのあり方、および現行の中学校英語教科書における基本動詞の採用のされ方についての議論を進めた。最終的には以下のような成果をあげた。1.映画やニューズクリップを題材としたマルチメディア教材を開発し、履修学生個々のニーズと能力に見合ったオンライン辞書等を自ら選定させ、WebOCMシステムとそれらを有機的に結びつけることによる斬新な英語教材を開発しCALL教室で運用した。2.現行の中学校英語教科書の中で用いられる英語の基本動詞を5つの活用形の観点から整理し、実際の用法を反映した大規模コーパスにおける活用形別の出現頻度と照合・分析することにより、より新しい提示の順序を提案した。3.東北大学全学教育における英語教育の改革の一環として、全1年次学生を対象とする「語彙テスト」を作成・実施するワーキンググループの長として、本研究で得られた語彙分析の手法を活用し、画期的なテストの実現に寄与すると共に、電子化した同テストを作成し、CALL教室を用いた学生の自学自習用に供する準備を完成させた。この際に、実際の授業の場で、履修学生には「語彙テスト」対策として、自分にとって最良と考えられるオンライン辞書を選定し、それを学生間相互で公開させ、より柔軟な語彙獲得環境を整備し提供した。独自の語彙リストを作成させ、それらを電子的に提出させることによって、学生にとって習得がしにくいと考えられる語彙の選定作業も併せて試みた。
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