本研究では日韓対訳コーパスの分析を通して日本語と韓国語の連語構造の類似点と相違点を明らかにし、その結果を取り入れた韓国語の語彙教育方法論を提示することを目標として次の研究を行った。 1.注釈つき韓日並列コーパスの完成 対訳コーパスを韓国語(知能形形態素分析機)および日本語(茶笙)の形態素分析システムを用いて注釈し、韓国語を基準にして50万単語(3万7千文、2千件)の注釈つき韓日並列コーパスを完成した。 2.韓国語コーパスからの連語構成の抽出 注釈コーパスから得た高頻度語彙リストを中心語とし、エディターと専用ソフト「WordParcer」を利用し、各キーワードの前後5単語の頻度を抽出、t-スコアと相対情報を利用して連語構成のリストを導出した。ところが、このリストは、規模の小さいコーパスからの頻度情報に基づいたという問題点を抱えているので、その補充策として先行研究で提示された語彙的連語構成のリストを利用して、並列コーパスからの出現例を追加した。 3.韓国語連語構成の類型分類 韓国語の連語構成に対し2項構造のものから多項構造の連語構成を抽出した。そして、構成要素の文法的、語彙的特徴に基づき連語構成を文法的連語構成、範疇的連語構成、語彙的連語構成と3つの種類に分けた。 4.韓日両言語の連語構成の対照 並列コーパスから韓国語の連語構成の日本語訳を抽出し、その対応の類型別に分類した。1つの連語構成に1つの日本語訳が当てられる揚合もあるが、多数の韓-日ペアは1対多の対応関係である。さらに、各韓日ペアでの対応様相も調査してみた。 5.連語情報の韓国語語彙学習への応用 連語情報のうち、韓国語学習に応用しうる側面を類義語の用法、擬声・擬態語の用法、日本語の訳語のない韓国語語彙の用法、語順などをあげて検討した。それらをふまえ、韓国語学習用連語構成のリストを確定した。
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