本研究では、社会科学系の学生に対象を絞って、中級ドイツ語教育の補助として、とくに語彙力の涵養に力を置いたCAI教材の開発を行うことを目的とした。具体的には、まず社会科学系に必要な中級語彙集の選定をコーパス処理を応用して行ない、それに基づいて、現在一橋大学総合情報処理センターに導入されている、汎用e-learningシステム、WebClass上に、この目的に合わせた教材を構築する。平成16年度の実績は次の通りである。 まず社会科学分野で重要になるドイツ語語彙を決定するために、CD-ROMやネット上の資源等を活用したテキストコーパスを参照し、出現頻度等に経験も加味した上で中級学習者に必要な単語の選定を行った。次いで語彙力強化のためのCAI教材について、英語用のものなども参考にしながら、教材化のためのテキスト(問題集)の作成を行った。出題には多岐選択を用いるが、短文穴埋め形式では、解答に既に相応の語彙力が必要になることを考慮し、便宜的に訳語選択式をとった。単語・訳語の選定については、ネイティブの学生アルバイトにも助力を求めた。 そして教材を、単にテキストとして提示するだけではなく、学習者が対話的に解答し、自分でも成績評価ができるようにするために、コンピューター上のシステムに載せていく。このベースのシステムとして、上記のWebClassを用いたが、ここで従来問題があったドイツ語・日本語混在のテキストを扱うために、ユニコード(UTF-8)形式を利用するべく、システムの作成会社とも協議し、ベースシステムの入替え後検討を行った結果、エクセルで問題作成後、ほぼ自動的にデータを生成・アップする方式を確立することができた。現在はこれにビジュアル的な要素を含めるための検討と作業、および教材を次年度に評価利用改善できるようにするための準備を進行中である。
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