17年度は、16年度に行なったテキストコーパスの作成と社会科学系中級学習者に必要な単語の選定の結果に関して、本学に勤務するドイツ語教育担当者の方々とも意見交換をし、特に中級ドイツ語学習者の能力の現状について聞き取りを進めた。そしてその結果を考慮してリストの見直しを行ない、やや初級に近いが重要な語彙を中心に増補を行なうと共に、難度の高い語彙については精選を行なって、別枠での提供が可能となるようにした。 そしてこれらの語彙を元に、アルバイトの協力も得て、重要な千語余りについて選択式問題の形式の教材作成を進めた。これについては16年度行なった検討に基き、問題としての利便性を考慮してドイツ語単語に対応する邦訳を多岐選択で解答する形式の教材テキストの作成を進めたが、問題提示にあたり単純なインターフェースでは、内容的にいささか単調になりがちなため、語彙力強化のためのCAI教材として多数存在する英語用のものを購入・調査し、それらを参考にしながら、さらに有効な問題提示形式の検討を行なった。 そして以上に基づいて、16年度到達したドイツ語日本語共存データをユニコード・ベースで効率的に変換するための手法によりながら、e-learningシステムWebClass上にCAI教材の構築を行なった。この際、教材の単調さを回避するためには、内容的なものだけでなく、たとえばビジュアル的な要素や、問題解決的要素も必要であると考えたため、これまでドイツなどで個人で撮影した写真を取り込んで活用するなどの実験検討も進めた。この点については、モニターによる教材の評価検討も行ったが、写真の利用は、魅力は大きいものの、レスポンスが遅くなって単語教材に必要なスピード性がやや阻害されるためその改善について、及び近年急速に重視されるようになった肖像権問題に厳格に対処する必要性についても今後更なる検討を行なうこととした。
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