1 韓国の国家英語カリキュラムである第7次英語科教育課程および現職教員研修と、学校現場における英語教育実践との関連性について 第7次英語科教育課程の深化-補充型水準別教育課程と、段階型水準別教育課程が学校英語教育の現場にどのような形で実践されているか、そして、現職英語教員の研修が授業を担当している英語教員の授業実践の質にどのように関係しているかが判明した。具体的には、初等学校段階では、教員の英語授業の質が着実に向上しており、それが国家政策として1997年から韓国が取り組んでいる初等学校英語担当教員の現職研修と大学院修士課程再教育によるところが大きいことが判った。また、中等教育段階では、段階型水準別教育課程として1学期より進んだ学習を2学期に展開していたが、それが教科書の編纂形態に従ったものであり、教員の力量による差異を生じさせない工夫がされていることが判明した。加えて、観察した中学校では学級内の深化-補充型水準別教育が、高等学校では学級間の深化-補充型水準別教育が実施されていることが判明した。 2 中国の国家英語カリキュラムである『全日制義務教育普通高級中学英語課程標準』および現職教員研修と学校現場における英語教育実践との関連性について 現在第10期五ヵ年計画の終盤期にあたる北京市では、9年制義務教育段階(小学校1年〜初級中学3年)は新課程である『全日制義務教育普通高級中学英語課程標準』に準拠した英語教育が展開されている。観察した北京市内小学校では市独自のカリキュラムにより、小学校1年次より英語の母語話者とのティーム・ティーチングを展開し、初級中学では新課程実験教科書による授業が展開されていた。高級中学では現行課程版教科書の改訂版を使用した授業であったが、いずれの校種においても、海淀区第十期五ヵ年計画による教員継続教育プログラムが学校英語教育現場に大きな好影響を与えていることが判明した。
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