第一言語教育においては、Reading能力の発達に音韻認識能力(Phonological Awareness)が大きく貢献していることが様々な研究から報告されている。著者は第二言語教育におけるこの理論の妥当性を探ることに興味をもち、まず平成14年、15年度の科研費で第二言語における音韻認識能力を分析した(詳しくは報告書を参考)。その結果日本人の幼児・児童の英語音韻能力の発達には日本語の音韻能力および知能の発達が大きく関与していることがわかった。 今年度より(1)日本語の音韻体系で育ってきた子ども達が英語の音に慣れることで音韻認識能力(Phonological Awareness)をどのような関連性があるのかを研究している。今までのように単純にAlliterationやRhymeの能力を測定するだけでなく音素認識能力も測定できるようなphonological awarenessのテストを作り日本語のモーラ体系に影響を受けつつ、児童がどのように英語の音を聞き、また分節していくのかを探っている。 また、音韻認識能力と英語の単語認識力の関係に関しては小学校6年生および中学1年生225名のデータを収集した。英語の音韻認識能力が単語認識力に影響を及ぼし、さらにReading能力にも影響していると仮説をたて、それをStructural Equation Modelで検証した結果、この仮説は妥当性があることがわかった。
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