研究概要 |
1.プレースメントテストの分析 大学独白に作成したプレースメントテスト(2002年度版)を約6500人の被験者集団に対して実施して習熟度別クラス分けを実施した。テストはリスニング30、文法30、リーディング40の計100問の4肢選択式問題であり、テスト結果によって3つのレベル(A:上級,I:中級、B:下級)に分けられる。このテストに最も適した3パラメータIRTモデルを使用して分析した結果、テスト情報曲線(TIC)はテストが被験者集団の能力に対して非常に難しすぎ、特に能力レベルが低い被験者の能力は正確に測れていないことが明らかになった。この能力レベル-1.0は3つのレベルのうちIとBを分けるカットポイントにあたり、この能力レベルの学生の能力を正確に測ることは大変重要な事である。また、文法、リーディングに比べ、リスニングテストが難しすぎ、最も難しい項目困難度3.0の問題が17問もあり、これらの問題の早急な改善が必要であった。 特にリスニングテストを重点的に、項目困難度-1.0の問題を収集する目的でパイロットテストを実施し、改訂版プレースメントテストを作成し、新入生6500人に対して実施した。2004年度、その結果を3パラメータIRTモデルを使用して分析した結果、項目困難度が高すぎて改善しなければいけない問題の数が30から3に激減し、リスニングテストも改訂前に比べ被験者集団の能力にはるかに適したテストになったことが判明した。 3.教員、学生へのアンケート 3つの習熟度レベルへのクラス分けに対して満足度を調査するアンケートを学生とその教員に突施した結果、教員のほうが学生より満足度が高く、教員、学生ともに高いレベルの方が低いレベルより満足度が高いという結果が出た。また、比較すると改訂後の低いレベルの学生と担当教員は改訂前より満足度が高く、これはテスト改訂によってIとBレベルがより正確に分けられるようになった成果だと推測される。 これらの結果を2004年度に総合的に質的、量的に分析、考察した結果、今後は改訂版テストがより妥当に使用されたことをシステマティックに検証するためのプレースメントテスト妥当性検証のためのフレームワークを作成する必要があると考えられた。従って、今後もさらに詳細で精度の高い分析、考察を繰り返し、より妥当なテストを使用していかなければならないと思う。
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