研究概要 |
本研究の目的は,現行の小学校英語活動に見られる音声重視傾向に改善を加えるという視点に立ち,「仮説:リーディングによる読解力重視のカリキュラムは音声重視よりも英語保持能力を高め,長期的展望に基づく英語教育の重要な基礎となる」の検証を行うことにある。 本年度は平成16年度に引き続き,以下4点を行った。 (1)日本の帰国子女の言語保持・喪失に関する収集データの分析((財)海外子女教育振興財団の協力のもと「外国語保持教室」を対象にデータ収集を行い,分析を行った) (1)担当講師および保護者の英語保持に関するアンケート調査 (2)生徒の英語習得・保持を測る言語テスト調査 (2)国内の(教育特区における)英語プログラムの視察調査と資料収集 (1)東京都品川区立・城南小学校 (2)埼玉県新座市立・大和田小学校 (3)英国(ミドルセックス州とウェストサセックス州)の英語プログラムの視察調査と資料収集 (1)Norwood Green Junior School (2)Hounslow Language Service (3)Sheddingdean Community Primary School (4)平成16年度の入手資料等の整理と分析 以上,平成16〜17年度に行った帰国子女の調査からは(1)音声重視から文字への段階的な指導の必要性,また,英米の英語プログラムからは(2)phonemic awareness(音素の気づき)育成の重要性が浮き彫りになった。このことから,日本の英語教育の現場においても,英米で行われているphonemic awareness育成のための活動の応用が充分可能であり,長期展望に基づく一貫性英語教育にとって,音声活動と相乗効果を生む文字指導が小学校英語活動の大きな鍵であるという知見を得た。
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