研究課題
基盤研究(C)
国内聾学校6校と韓国の聾学校2校で、生徒と教員を対象に授業見学・聴き取り調査・アンケート調査を実施した。また、親の会でのアンケートも実施した。その結果、多くの生徒、そして現場の教師や親たちもASLよりも英語が必要であると考え、さらに、英語よりもまず日本語や日本手話の獲得が重要であると考えていることが明らかとなった。幼稚部や小学部では人工内耳の普及が進み、聴覚障害者の中にはある程度の聴力を備えた者が増加する傾向があり、今後は音声教育の比重が大きくなると予測できる。韓国の生徒や教員は英語のスピーキングに対して関心が強く、授業においてもIT機器を活用して映像や音声の教材を積極的に利用している。体感音響システムを利用した実験調査の結果から、体感音響システムが情報保障手段として必要となるは、95〜100dBよりも聴力が弱い者であった。体感音響振動を利用して、聴き取りと発話の練習を繰り返すことで、英語音調核の認識力が向上する結果が得られたが、向上の度合いは聴力と関連がなかった。さらに、健聴者の場合でも英語音声習得の習熟度が低い学習者において、体感音響システムが情報保障として有効となる傾向が強く、障害が重くない難聴レベルの学習者に体感音響振動が情報保障として有効となるケースもいくつかあり、今後は英語習熟度との関連を調査する必要がある。実験調査で見出されたもう一つの重要な点は、体感音響振動に音声波形などの視覚情報を加えて情報保障することで、効果のある学習者がいることである。このことは、パソコンと体感音響振動を活用した英語学習の効果を裏づけとなる。今回の調査で聴覚障害者の音声分析をしているが、現在では、パソコンと体感音響システムの利用についてさらに調査を進めており、事前と事後の音声分析結果を比較して発話改善について検証する予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件)
『学術論文集 英語教育音声学と学際研究』日本英語音声学会中部支部創立10周年記念論文集
ページ: 131-138
ページ: 139-147
English Phonetics in Education and Related Studies, EPSJ Chubu Branch Special 10^<th> Anniversary Issue