学習指導要領と検定教科書の第一次資料の収集・調査・分析を行った。今年度は1947(昭和22)年の「学習指導要領・一般編(試案)」を起点として、中学校・高等学校の学習指導要領の収集を行ったが、1947(昭和22)年学習指導要領(試案)、1951(昭和26)年中学校・高等学校学習指導要領(試案)、1956(昭和31)年高等学校学習指導要領、1958(昭和33)年中学校学習指導要領、1960(昭和35)年高等学校学習指導要領については、国立教育政策研究所等の資料を利用した。以下は学習指導要領の主な特徴の分析: 1947(昭和22)年試案は英語教授の目的や指導法に重点を置き文型・文法の言及なし。1951(昭和26)年度版試案は教師用参考書としても機能し、英語教育は、教養・機能の観点から知的発達・文化の伝達・品性の発達・社会的能力の発達・職業能力に寄与することを述べる。1956(昭和31)年版は告示され「試案」が消えた。第二外国語が導入され、文型・文法を基本的なものから配列することを示す。1958(昭和33)年度版で初めて「言語材料」(文型・文法事項)を本格的に取り上げ、「学習活動」についての学年別の基準を示し必修語彙の表を付し、指導要領に強制力を付加。1960(昭和35)年版の高等学校学習指導要領で「英語A」(9単位)と「英語B」(15単位)に二分。1969(昭和44)年版は実際に使える英語、「基礎・基本」「精選と集約化」を強調。1970(昭和45)年版では「英語A」「英語B」に加えて「初級英語」「英語会話」を新設した。1977(昭和52)年版で中学校の英語は週3時間となり、過去完了・SVOCの文型などが消えた。1978(昭和53)年版から文法の検定教科書がなくなった。1989(平成元)年版では文法の比重がさらに軽くなり、言語材料は一括指定となった。「オーラル・コミュニケーションA・B・C」の3科目が新設。1998(平成10)年、1999(平成11)年で中学校・高等学校とも外国語が必修。「実践的コミュニケーション能力」を打ち出す。
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