本年度は最終年度にあたり、(1)現地調査、(2)成果発表および(3)研究成果報告書の作成、に重点をおいて研究を進めた。 (1)現地調査は、2007年1月5日〜8日の日程で、佐賀県・長崎県方面で実施した。主な調査対象は、ア)「唐坊」の遺称地、イ)長崎県西彼杵半島の石鍋製作遺跡である。アに関しては、佐賀県松浦市御厨の東防、長崎県長崎市矢上の東望、同県南島原市口之津の東方の現地に赴き、地形的特徴、歴史的環境の把握に努めた。イも含めて、地元の研究者のご案内をいただき、有益な資料や情報を得ることができた。この結果は、研究成果報告書に掲載した。 (2)の成果発表は、第13回東北アジア文化学会(大韓民国釜山広域市釜慶大学)において「中世日本の『外国人』居留地」と題して行った。また直接、本科研費の支給を受けたわけではないが、国際交流基金日本研究客員教授派遣事業でインドネシア共和国滞在中にインドネシアナショナル大学より講演依頼があり、それに応えて"The relationship between medieval Japan and Asia"(中世日本とアジア)と題する講演を英語にて行った。これらによって本研究の成果を一定程度、国際的に発信し得たと考える。国内でも東北大学文学研究科東北文化研究室シンポジウムにおいて「東北と琉球弧」という本研究に関連あるテーマの報告を行っている。 (3)の研究成果報告書は、新稿2編も加え、論考4編と文献目録で構成した。
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