本研究での資料調査対象は3ヶ所であった。東富士に関しては、地元紙『岳麓新聞』の検索を優先し、1955年から82年にいたる27年分の記事検索を終了した。ただし、記事索引は未完成である。 浜松に関しては資料の入手が難しかったが、浜松市基地対策協議会『基地対策の概況』各年版を入手できた。この結果、浜松基地の住民対策(基地周辺への防衛補助事業)の対象と推移を把握することが可能となった。また、浜松市内の平和運動団体「NO AWACSの会」会報を入手し、さらに『静岡新聞』1993年以降を対象に、浜松基地関係の記事検索を行った。 また東富士と浜松両者にわたる資料として静岡県平和委員会資料をも閲覧することができた。同組織は、1940年から40年間、東富士演習場や浜松基地、今沢米軍基地などの監視を続けてきた運動体で、静岡県基地史にとっては貴重な資料が含まれている。 沖縄に関しては、1950年代半ばの『琉球新報』記事検索、近年の普天間基地移転問題に端を発した米軍再編に関する『沖縄タイムス』の記事検索、占領時代の写真資料調査として沖縄県公文書館の琉球政府関係写真資料・沖縄市史編纂室所蔵写真資料・那覇市歴史博物館所蔵写真資料の調査を実施した。 以上、資料調査を中心にしてきたため、資料の分析はほとんど今後の作業となる。このため、今回の報告書では『基地対策の概況』から読み取れる浜松基地と住民との関係、さらにAWACS配備により変容してきた基地機能と市民の新たな対応を『静岡新聞』から跡付けることとした。浜松に関しては、さらに市民団体の会報を含めて、論文化の作業を進める予定である。沖縄に関しては、構想の一部を今年度中にまとめる予定であり、東富士は、来年度のまとめを予定している。
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