研究概要 |
〔研究目的の達成状況〕 本研究は,近世社会において,地域の人々の暮らしのありようが林野利用とその植生のあり方,さらには動物相にどう現れているかを明らかにする。すでに準備を始めていたこともあって,広島藩領の動物相に関する小稿は発表することができた。また本年度は,島根県奥出雲の絲原家・桜井家資料調査への参加を許され,松江藩領奥出雲地域から広島藩領奥備後地域にわたるたたら製鉄地帯の燃料林関係資料を閲覧することができた。奥出雲の燃料林皆伐のため広島藩領の炭が出雲や伯耆に流通するなど,地域の産業と自然との関わりを藩領域を越えて対比する可能性も開かれた。 〔研究実施計画の実施状況〕 1.広島藩領の享保10年山帳の調査・収集と分析 (1)重点とした内陸部のうち,奴可郡41カ村の山帳(広島県東城町小田家所蔵)を複写・収集することができた。奥出雲に接するたたら製鉄の地域である。予定の山県郡より成果も期待されるので,当面奴可郡を中心に検討することにしたい。 (2)資料収集と集計作業などのために予定通りデジタルカメラやパソコンを購入したが,撮影資料のプリントを能率的に行うために新たにプリンターを購入しなければならず,入力作業にあてる予定の謝金の支出はとりあえず断念した。作業は代表者自身が引き続き行っている。 2.広島藩領の国郡志書出帳の調査収集と分析 広島藩領について実施し,その成果の一部はすでに発表した。引き続き収集に努める。 3.既往の研究成果や関連する学問領域の学習 (1)中国山地の地域史、製鉄史関連図書を購入した。 (2)比和町自然科学博物館を訪ねるなど周辺の学問領域についても学習に務めた。
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