1.本年度は、後藤家文書・武雄鍋島家文書・多久家文書から戦国期龍造寺氏関係文書の蒐集を行った。武雄鍋島家文書については、活字化されていない、「永野御書キ物抜書」の史料調査を行い、写真撮影、解読を行った。さらに多久家文書については、龍造寺隆信から実弟長信へあてた文書が3分の2を占めており、文書内容の分類が中心となった。これによって、長信が龍造寺氏の領国経営の中で、果たしていた役割・政治的位置を分析することができると考えられる。 2.さらに、本年度の当初予定には組んでいなかったが、資料収集の過程で龍造寺氏の戦国期の動向を知るのに小弐氏との関係が重要であることがわかった。そのために、東肥前の動向を時間系列で把握することが不可欠であることから、『大宰府・太宰府天満宮史料』(全17巻)より、東肥前地域関係(小弐氏・筑紫氏・龍造寺氏関係)の史料を抜き取る作業(文書の抜き取り・年表作成)を行った。この作業については、来年度の継続的に行う予定でいる。 3.龍造寺領国内の伊勢信仰の普及状況を知ることができる、史料が天理大学附属図書館所蔵されている(「橋村家文書」)。今年度にこの文書(複写)を入手できたので、その史料解読を継続中である。来年度には、その内容が掌握できる。
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